- 極端な楽観主義は身を滅ぼす、たとえプロでも。
- 当局者の判断が市場を大きく動かしかねない。
- 金融危機の恐ろしさを甘く見てはいけない。
きはち
コロナショックから1年が経過した現在、あの時の恐怖感はすっかり消え、S&P500は最高値を更新。
巷ではこんな声も聞こえてきます。
「将来株価は上昇するんだから今のうちに全額突っ込んでおけ!!」
もはや総悲観はどこ吹く風…。
ご存知でしょうか?
2000年〜2009年にかけてS&P500がマイナス6.9%のリターンであったことを…。
その間、ITバブル崩壊とリーマン・ショックがありました。
そんな期間で資産売却する事態になってしまったら目も当てられません。
大事な資産を守るため、直近のバブル崩壊、そして世界を震撼させたリーマンショックを振り返ってみたいと思います。
目次
リーマンショックとは何だったのか
通常、銀行は私たち消費者や企業にお金を貸し出してくれます。と同時に、銀行は債券を得ます。
しかし米国の銀行は、貸倒のリスクを回避したい、そのためには債権を手放したいと考えました。
そこで、その債権を住宅抵当公庫を経由して住宅ローン担保証券と名前を変え、市場に売り出しました。
一方で、投資銀行がそれを買い、他の債権と組み合わせて債務担保証券(CDC)として販売、
さらには保険会社は、その元本を保証するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を販売しました。
(出典)「サブプライムローン及び関連商品の仕組み」大和ハウス
きはち銀行
すると銀行は、所得証明すら求めず見境なくお金を貸し出すようになりました。
2000年代前半当時は、ITバブル崩壊、9.11テロなどによる景気低迷対策で金利が低下しており、金余りの状態。住宅価格も上昇していました。
低所得きはち
やがて、収入の低い人向けの住宅ローン(サブプライム・ローン)の債権が市場に出回るように。
きはち
そうです、複雑怪奇な状態なのです。
それ故、低所得者由来の債権であるにも関わらず高格付となっていました。
格付けの機能不全です。
そして、住宅価格上昇を背景にCDCを売り捌いていた投資銀行は莫大な利益をあげていました。
私たちが学べること
それでは、なぜ住宅価格が暴落し、リーマンショックに至ったのかを見ていきたいと思います。
そこには、私達が教訓として覚えておくべきことが3つあります。
極端な楽観主義は身を滅ぼす、たとえプロでも
投資銀行が莫大な利益を上げていたのは、あくまで住宅価格が上昇していたから。そして誰もが上昇し続けると信じて疑わなかったから。
しかし、サブプライム・ローンの延滞率が上昇し出した頃…、
投資家きはち
実態が明らかになるにつれて投資銀行の株価も軒並み下落。
やがて、保有資産暴落✖️株価暴落の2ダメージにより資金が枯渇した全米第4位のリーマン・ブラザーズが破綻しました。
投資家きはち
その後、世界中の株式市場も総悲観となり大暴落が発生しました。
当時のリーマン・ブラザーズは、レバレッジ比率(自己資本に対する負債の割合)30.7 : 1。サブプライムローンなどの不良資産を大量に抱え込んでいました。
株価が下がり市場がリーマンへ不信感を募らせていたにも関わらず、自社が持つ資産額を過大評価し、レバレッジを減らす試みを怠っていました。
むしろ、利益を得るためにもっとリスクを取れと上層部から指示も出ていたそう。
極端なら楽観主義により現状の問題を見誤る…たとえそれがプロでも。
その結果、リーマン・ブラザーズの倒産に繋がりました。
当局者の判断が市場を大きく動かしかねない
当時のブッシュ政権の金融政策はブレにブレました。
全米第5位投資銀行ベア・スターンズ、住宅抵当公庫を救済し、リーマンは破産させ、その直後にはAIGを救済しました。
きはち銀行
リーマン倒産前、ブッシュ政権はベア・スターンズと住宅抵当公庫の救済に対して批判を集めていました。
自由市場に対して国が介入するなど言語道断だ、と。
その結果、リーマン・ブラザーズの救済に対しては及び腰となりました。
「この規則性のない判断により、市場は混乱、更なるパニックを引き起こした」
これが、今回の金融危機の要因の一つと考える有識者が多いです。
信用失墜により引き起こされる金融危機の恐ろしさ
今回の金融危機はサブプライムローンに端を発し、金融業そのものへの信用が失墜する事態となりました。
本来、私たちが銀行にお金を預けるのは「銀行を信用しているから」。
しかし、銀行が倒産するかもしれないとなると…
投資家きはち
引き落としできないかもしれないという不安が広がれば、口座からお金を出す人が続出します。
お金は経済の血、その血が経済を循環せず個人の財布に戻っていくと、経済という名の体が失血症ショックに…。
恐怖が恐怖を呼び、あらゆる資産が暴落の対象となります。
このリーマンショックは、住宅価格と株式市場がダメージを受けました。
次は、米国株なのか、他の外国株なのか、はたまた米ドル…、もしかしたら日本円…かも?
そして、それがいつ起きるのか…?
将来のことは誰にもわかりません…。
まとめ
投資の世界で有名な格言がこちら。
「Don’t put all your eggs in one basket.(すべての卵を一つのカゴに盛るな)」
米国株の長期上昇傾向という蓋然性がもてはやされている昨今。
今後の見通しも明るい米国株が有力な投資先であることは事実です。
【日本株はオワコン?】米国株が長期投資として最適な投資先である理由
しかし、これはあくまで過去の実績の話です。将来のことは誰にもわかりません。
そして、いつ景気後退が訪れるのかもわかりません。
上記の格言は、「時間軸」にも当てはまります。全財産投資した直後に大暴落という事態も考えられます。
金融危機は一度発生すると壊滅的なダメージを受けます。
そして、リーマン・ショックにおいても例外ではなく、住宅バブルの崩壊によりあらゆる金融機関が瀕死状態となりました。
その際、当事者が何を考え、何をしてきたのか、ご興味を持った方には下記の書籍がおすすめです。小説顔負けの緊迫とした状況が伝わってきますよ!
自らの大切な資産を守るため、リターンの最大化だけでなくリスク分散に対しても全力投球しましょう!
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