きはち
今回は、イスラエル建国により1900年ぶりに自由にユダヤ教徒が訪れることが可能となった聖地「嘆きの壁」についてご紹介します。
目次
いざ嘆きの壁へ
早朝のエルサレム旧市街地
カルドを抜けます。ここは、かつての旧市街のメインストリートです。この石柱は西暦135年に建築されたそうです。
フルヴァ・シナゴーグの側でユダヤ人の子どもたちが朝っぱらからドッジボールをしていました(笑)。
彼らが被っているのはキッパと呼ばれる帽子、ユダヤ民族衣装です。
嘆きの壁の広場へ
テロ防止のため、イスラエル兵による手荷物検査とボディチェックがあります。
この際、キリスト教の聖典である新約聖書を持って入場できません。
非常に厳かな空気と歴史の重み。
異教徒の自分が本当に近づいて良いのかと、思わず躊躇してしまうような所です。
壁の側に置いてある観光客用キッパを被って恐る恐る壁へ。壁の隙間にあるのはユダヤ教徒の祈りを記した紙切れです。
その後、小高いところから歴史を思い返しながら、嘆きの壁とイスラム教第3の聖地岩のドームを眺めていました。
彼らはユダヤ教超正統派の方々です。もみあげは切らず、真夏でも黒いコートで身を包み肌を見せないそうです。
嘆きの壁の地下(Western Wall Tunnel)
この嘆きの壁、実は地下に10m強も埋もれています。2000年の時の流れは凄いですね!
ということで、その地下に潜入してみました(現地ツアーがあります、事前予約制)!
参考
Western Wall TunnelsWestern Wall Heritage Foundation
このトンネルは、嘆きの壁に沿って掘られています。右側にある壁が、嘆きの壁の地下部分です。
約2000年前の第2神殿時代の城壁です。
当時の城壁の前で旧約聖書を読むユダヤ教徒の方がたくさんいました。
嘆きの壁の詳細情報
場所
嘆きの壁は、エルサレム旧市街地の東部にあるユダヤ教で最も重要な聖地です。
嘆きの壁の正体
第2神殿時代の神殿の丘とエルサレムの模型 @イスラエル博物館
嘆きの壁は、イエス・キリストが生きていた直後の西暦70年にローマ軍に破壊されたユダヤ教の神殿の城壁の一部です(赤矢印)。
その残った城壁が西側であることから、嘆きの壁の英語名はWestern Wallとも呼ばれています。
「嘆きの壁」名前の由来
ユダヤ教徒は、かつての神殿の城壁であるこの壁に向かって、ローマ軍に破壊された神殿の再建とメシア(古代イスラエル王国を復活させるダビデの子孫)降臨を祈ります。
このユダヤ教徒の祈りの姿から、または、夜露が壁から滴り落ちる様子が涙を流すユダヤ人を映しているようである、ということから嘆きの壁(Wailing Wall)と言われるようになったそうです。
嘆きの壁とユダヤ教徒の歴史
西暦70年のエルサレム陥落
『エルサレムの包囲と破壊』。19世紀イギリスの画家デイビッド・ロバーツ Wikipediaより引用
ユダヤ教徒がこの嘆きの壁で自由に祈りを捧げることができるようになったのは、いつからか。
実は1967年なんです。
西暦70年にローマ軍により神殿を破壊された後、ユダヤ教徒は離散の民となり、各地で迫害の対象となります。
神殿崩壊後、嘆きの壁に訪れることができたのは年1回のみ。
その後、第二次世界大戦後のイスラエル建国に端を発した第一次中東戦争により、エルサレム旧市街地はヨルダンが占領。
その結果、1967年にイスラエルがエルサレムを占領するまで、ユダヤ教徒は嘆きの壁に近づくことすらできませんでした。
再びユダヤ教徒が嘆きの壁を自由に訪れることができるようになったのは実に1900年ぶり。
日本人視点で例えるなら、富士山や伊勢神宮を他国に占領されていて、やっとこそ日本人の手に戻った、そんな感覚でしょうか。

イスラエル豆知識〜安息日「シャバット」〜
シャバットとは
金曜の夕方から土曜の夕方までの間、機械や火を使うなど労働してはいけないとされています。
つまり、ほぼ何もしてはいけない状態です。
その間、一部のタクシーを除いて飛行機からバスまで公共交通機関がストップします。
当日、シャバット前のティベリア→エルサレム終バスで滑り込んだ私、あまりに閑散としいてビックリしたことを未だに覚えています。
これがシャバット明けのエルサレム新市街です。人通りが戻り、バスも動き出しました。
シャバットの嘆きの壁
シャバットの夜の嘆きの壁
僧侶上田隆弘の「お坊さんも自問自答ブログ」より引用
シャバットの夜の嘆きの壁では、ユダヤ教徒超正統派が集まり、個々にお祈りを捧げた後、一体となって大合唱に至るそう。
さきほどの写真の様子と全く異なります。
あれ、厳かな雰囲気はどこ行った?というような一体感に。
シャバット当日の私は、キリスト処刑の地「聖墳墓教会」で祈祷を見届けた後、東エルサレムにあるシャバットとは関係ないアラブ人のレストランで晩ごはんを食べていました(笑)。
嘆きの壁ではこんなことが行われていたとは知らず…。
参考
ユダヤ教の安息日、シャバット~嘆きの壁の祈りに心が震えた! イスラエル編⑨僧侶上田隆弘の「お坊さんも自問自答ブログ」
キリスト教会の鐘とイスラム教のコーランが鳴り響く喧騒、シャバットの夜の嘆きの壁…、
エルサレムとは本当に摩訶不思議な街です。
ぜひ、航空券と宿泊先を確保して行ってみてください!
次回予告
次回はイスラム教第3の聖地「岩のドーム」をご紹介します!
知らない国・街を知ると興味を持ちます。リスクという名の勇気を振り絞ると、見えていなかった世界を体験できます!
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました!
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