かどいちと言います。ドイツでシニアマネージャーとして働いています。
ドイツ人は日本人に比べて、すぐ転職します。
嫌なことがあったら転職。給料が安かったら転職。昇進できなかったら転職。
それでもアメリカとかに比べればマシなんですが。
日本人って真面目だよなーと、日々実感しています。
とはいえ、ここ最近日本でも転職ブームですよね。若者がすぐ辞めてしまう!という悩みを抱える人も多いかと思います。
辞めようとしている部下や後輩を前に、混乱している人も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では
部下や後輩が転職しそう…でもどうしたらいいか分からない!
という人達に向けて
・転職を考えている人が発するサイン
・転職を考えている部下や後輩の心情
・転職を防ぐための具体的な方法
などについてまとめていきます。
辞められたら困る!と、悩んでいる人の参考になると思いますので、ぜひご一読ください。
それでは早速見ていきましょう!
目次
転職を考える主な理由
部下や後輩の転職を防ぐため、まずは原因を特定する必要があります。
彼らはなぜ転職を考えているのでしょうか?
この項目では、部下や後輩が転職を考える理由について整理していきます。
人間関係のトラブル
統計上、最も多いと言われているのが人間関係のトラブルによる退職です。
少しそりが合わない人がいる…くらいなら我慢できるかもしれませんが、職場の人から日常的にパワハラ|セクハラや嫌がらせを受けている場合、十分な転職の動機になります。
部下が転職しそうかも…と感じた時、まずはその人の周囲の人間関係を注意深く観察してみるといいでしょう。
仕事の内容や量に対する不満
私の経験上、退職に踏み切る理由としてかなり強いのが、仕事の内容や量に対する不満です。
・望まない仕事を強要されている
・仕事の量が多すぎてワークライフバランスを保てない
・能力に見合わない簡単な仕事ばかり
こういった事を理由に退職するというのはよくある話です。
また、これらが原因となって人間関係が悪化し転職…という可能性もあります。
任せている仕事に対して、部下がどのように感じているのか?
日頃から小まめにヒヤリングし、部下の価値観に合った仕事を任せているか?確認するようにしましょう。
キャリアアップの見込みがない
仕事に対する不満に続いて多いのが、キャリアアップに関する不満です。
・今の仕事を続けていても昇進や昇給が望めない
・今の仕事に対する将来像が良く見えない
部下がこのように考えていると危険です。
あなたが部下のキャリアプランを考えていたとしても、それが伝わらなければ意味がありません。
本人の価値観や上昇志向とすり合わせながら対話をしていく必要があります。
給与や待遇の不満
給与や待遇への不満が退職の動機となりうる人もいるでしょう。
現職の給料に不満がなくても、他社の方が給料が良いという場合も転職の動機となりえます。
自身の立場で部下の給料や待遇をコントロールできる人は少ないかもしれませんが、部下の不満については把握しておく必要があります。
日頃から部下の考えを聞いておきましょう。
もし、部下が給与や待遇に不満を持っているのであれば、それ以上のやりがいや楽しさを感じさせる工夫が必要でしょう。
特に理由なく転職活動をする人も
アメリカ人は一生に10回程度転職をする。
そんな話を聞いたことがある人も多いでしょう。
日本人でここまで転職する人はそんなにいないと思いますが、最近は転職を前提に生涯のキャリアを設計している人も多いそうです。
転職市場での自分の価値を把握するため、理由なく転職活動をするという人は少なくありません。
特に、仕事ができる人ほどこの傾向は顕著です。
これを逆手にとって、部下が転職活動をしている前提で話をしてみると、案外本音を聞きだせるかもしれません。
部下から本音を聞き出すためには、会議室での面談よりも雑談を通じたコミュニケーションがオススメです。
転職を考える人の心の動き
日本でも転職が一般的になってきたとはいえ、転職を考えている人の心中は複雑です。
そんな複雑な心境を理解し、寄り添うことが、部下の転職を引き止めるために必要不可欠。
そこでこの項目では、転職を考える人の心の動きにフォーカスし、その心境についてまとめていきます。
自分の価値観や生き方とのギャップ
20代~30代の社会人には様々なライフイベントがあり、そのたびに価値観が変わっていくものです。
僕自身、働き始めたころは仕事に全力投球していましたが、結婚して子どもが出来たことで、ライフワークバランスを考え始めました。
逆に、様々な経験を経て価値観が変わり、もっと難しい仕事や違う仕事に挑戦したいと考える人もいるでしょう。
自分の価値観と、職場の文化の不一致によって、自分の生き方について考え始める…
転職を検討している人の多くは、このような心境にあるのです。
そこで、部下に仕事を与える前に考えて欲しいのが、
本人が何を求めているか?
です。
仕事なんだからやるべき!と頭ごなしに相手の価値観を否定してしまうと、部下の心が離れていきます。
そういったことが重なり、転職を引き止めることが難しくなるのです。
会社の利益と本人の利益を両立し、部下や後輩のエンゲージメントを高めることが、転職を引き止める有効な手段なのです。
不安や迷いを抱えているかも
近年、転職エージェントが充実し活発な転職活動が行われています。
そのこともあり、他社の給与や有給取得率などが見える化され、転職のハードルはかなり下がってきていると言えるでしょう。
ただし、転職には必ずリスクが伴います。
労働環境や新しい職場の人間関係など、数字にできず、転職前には分からない部分も多々あるからです。
従って、転職を検討している人は
・新しい職場への期待や希望
・転職のリスクに関する不安
この2つの間で揺れ動いているのです。
この迷いを上手く捕まえ、本人の価値観に合わせて会社に残るメリットを提供することが、転職を防ぐために有効です。
そのためにも、日頃から部下や後輩と対話し、本人の価値観をしっかりと把握しておきましょう。
転職しそうな部下のサインの見極め方
部下や後輩が「辞めます」と言ってきた時には既に手遅れ。すでに意思は固まっており、次の仕事も決まっていることが大半です。
なので、転職しそうな部下のサインをいち早く見極め、早期に引き止めの施策を打つ必要があります。
ここからは、部下が転職を検討しているときのサインをご紹介します。
謎の休みが増える
最も分かりやすいサインが、有給取得率の増加です。
今まであまり休まなかった人が急に有給を取得し始める。理由を聞いてもそれとなくはぐらかされる…
特に理由はないけど休みます。
この場合、休みを使って転職活動をしている可能性があります。
だからといって、休みが取れないように画策しても逆効果。
転職活動してるかもな…と心の中で考えつつも、部下と話す時間を増やしたり業務内容を見直したりして、エンゲージメントを高める施策を打つべきです。
業務へのモチベション低下
転職を検討している人は、仕事へのモチベーションが明らかに低下しています。
仕事に対する意見や考えを聞いても明確な回答がなかったり、主体的な活動が見られなくなった場合は注意が必要です。
若者くんはどんな仕事がしたいの?
いや、そういうの特にないです。
部下や後輩のモチベーションに関しては、常に注意を払っておきましょう。
コミュニケーションの量や質が低下する
コミュニケーションの頻度や質についても気を付けておきましょう。
仕事上の連絡はもちろんですが、仕事以外の話が明らかに減るなどの変化は、退職の前兆かも。
若者くん土日はゆっくりできた?
普通でした。
雑談は時間の無駄!などと言わず、日常の会話から部下の発するサインにアンテナを張っておきましょう。
サインを探すより日々の対話を大切に
ここまでの話の中で何度か書きましたが、最も大切なのは部下や後輩との信頼関係です。
そしてそれを育むのは日々の対話。
微妙な変化を観察するよりも、日頃の雑談を通じて価値観を共有したり信頼関係を築いたりしておく事の方がよっぽど重要。
部下の行動に変化が感じられた時
最近どうした?転職活動でもしてんの?
と、ダイレクトに聞けるくらいの関係性を作っておくことじゃないかなと思います。
ちゃんと信頼関係が出来ていれば
そうなんです。実はやめようか悩んでいて…
と、本音で相談してくれるはずです。
信頼関係構築のために必要なのは、”本質的な雑談”。
一流の人ほど、本質的な雑談を通して、相手のパーソナリティを把握しているようです。
転職を防ぐための具体的な方法
転職を防ぐために最も効果的なのは「本人のエンゲージメントを高めること」
そのためには、部下や後輩から本音を引き出し、価値観を共有しておかなければなりません。
その上で、本人の価値観に合った仕事を任せたり、本人の望む働き方をさせることが一番です。
従って、転職を防ぐための施策は一概には言えません。本人の価値観によってやるべき事が異なるからです。
とはいえ、上司や先輩としてやるべき事、見直すべき行動はあります。
ここからは、部下や後輩の転職を防ぐためにやるべき事、見直すべき行動についてまとめていきます。
コミュニケーションの取り方を見直す
転職しそうな部下や後輩を前にしたとき
どうしたらいいか分からない!
と焦りますよね。
そんな時、初めに見直すべきなのはコミュニケーションの取り方。
というのも、何をしたらいいか分からないのは”部下に対する理解が足りない”からです。
まずはしっかりと対話の時間を設け、相手の価値観や考え方を聞きましょう。
具体的な対話の方法ですが、会議室で行う1on1ミーティングよりも、短時間の雑談を日々繰り返しながら徐々に聞くのがオススメ。
なぜなら、いきなり
面談しよう。ちょっと会議室に来てくれる?
こんなこと言われると部下は身構えます。
初対面の女性に「彼氏はいますか?」「どんな男性が好きですか?」と聞くようなものです。
どうしていきなりそんなこと聞くの!?
怖いわ警戒されるわで信頼関係どころではありません。本音なんて聞けるわけもなし。
リラックスした雑談の中で
・何のために働くのか?
・どのような働き方がしたいのか?
・喜びを感じるのはどんな時か?
こういった「価値観ベース」での話を聞いていきましょう。
大切なのは転職を食い止めることではありません。相手の価値観を理解し、会社との間にWin-Winの関係を築くことです。
部下が会社に残るのは、その結果と考えるべき。まずは対話を通して、相手を理解することに努めましょう。
任せる仕事やワークスタイルを見直す
部下や後輩の価値観を理解出来たら、次はキャリアプランや仕事の任せ方・働き方の見直しです。
挑戦したい!という人へは少し難易度の高い仕事を。
自分の時間を大切にしたい!という人へは少し仕事の負荷の軽減を。
相手の価値観に合わせて、任せる仕事やワークスタイルを見直してみましょう。
ただ、注意して欲しいのが、あくまで会社の利益との両立を考えるという事です。
ただ楽がしたいとか、能力も無いのに大きな仕事をしたい、といったワガママに付き合ってはいけません。
他のメンバーにも示しが付きませんし、秩序が無くなってしまいます。
時にはハッキリと断ることも重要です。
もっとデカい仕事させてください。
じゃなきゃ辞めます。
もう少し今の仕事を頑張ってください。
また、上昇志向の強い部下や後輩には、将来の姿をイメージさせることも大切です。
今は小さな仕事だけど、もう少しスキルを付けたら大きい仕事を任せるよ。
具体的なステップや、必要なスキルなどを示し、今後のプランを明確にしていきましょう。
そうすることで、部下のモチベーションを高めることが出来るでしょう。
自社の良さをアピール
他社に比べて、自分の会社が優れているところをアピールできれば、部下や後輩のエンゲージメントを高めることが出来るでしょう。
ただ、日本の管理職のほとんどは、自社以外での仕事を経験したことがありません。
従って、他社に対する自社の良い点・悪い点が検討も付きません。
僕自身、海外赴任してドイツの全く違う文化や環境の中で働くことで、ようやく職場の違いによる良い点や悪い点に気づきました。
だから、違う会社について知ることが、自社の良さを改めて知る機会になると思います。
とはいえ、簡単に他の会社の中を見ることはできませんよね。
そんな時、最も簡単でオススメな方法は
自分も転職活動をしてみる
ことです。
具体的には転職エージェントに登録し、職務経歴書をまとめて求人を確認してみるのです。
すると、登録直後から山ほど求人が来るでしょう。中にはヤバそうな企業や、逆に魅力的な企業もあると思います。
そういった求人を眺めながら、自社の良さや強みを改めて確認することができるのです。
なにより転職活動をしている部下や後輩の立場に立って、相手の目線で話すことができるようになるでしょう。
とりあえず求人を見るなら、求人数の多いリクルートエージェントか、求人の質と量のバランスがいい転職エージェントのdodaがオススメです。
社内はどうか?理解するためには社外に目を向ける必要があります。
ぜひやってみてください!
まとめ
今回の記事では、部下や後輩が転職しそう!と言う人に向けて、転職を引き止めるための対策をまとめてきました。
まとめると、部下や後輩が転職を検討しているサインは
・急に謎の休みが増える
・仕事へのモチベーションが低下
・コミュニケーションの減少
といったことがあります。
とはいえ、その心中は複雑で、迷っている可能性は非常に高いです。
転職のサインや相手の心情をうまく捕まえ、エンゲージを高めることができれば引き止めは可能です。
具体的には
・対話を通して価値観や心情を理解する
・相手の価値観に合わせて任せる仕事を見直す
といったことで、引き止めを目指しましょう。
対話の際は、かしこまった1on1ミーティングよりも、雑談ベースで少しずつ本音を引き出す方が良いでしょう。
また、自社の魅力を改めて知るために、転職エージェントに登録して他社の様子を確認するのも有効です。
リクルートエージェントやdodaといった、豊富な求人を提供しているエージェントに登録して他社に目を向けることで、自社の良い点が見えてくるでしょう。
一度転職を決意した部下を引き止めるのはほぼ不可能。
そうなる前に日頃からコミュニケーションを取りつつ、本音で話せる関係性を作っておきたいですね!
今回の記事は以上です。
ではまた。