かどいちと言います。ドイツで駐在員として働いています。
突然会社から海外転勤の打診があった!
ちょっと不安だけど、キャリアアップのチャンスだし、海外では貴重な経験も沢山できるハズ。妻も応援してくれるよね!
そう思い、帰って相談したら真向から拒否された…どうして!
今回の記事は、こんな人へ向けて
妻が海外赴任についてきてくれない理由
をまとめつつ
どうすれば妻に納得してついてきてもらえるのか?
について考えて行こうと思います。
「納得して」と言うのがポイント。むりやり連れて行ってもロクなことになりません。
というのも、僕は海外赴任中に、
・妻との関係が悪化
・家庭内で3カ月無視される
・家事・育児にフルコミットして関係を修復
という経験があるからです。
今回の記事は、そんな過去の自分に説教するつもりで書くので、厳しい内容になるかもしれません。
しかし、経験者でしか書けないリアルな内容になっていますし、何より僕と同じ思いを他の人にしてほしくない。
そういう訳で、辛口にまとめていきます。ぜひ最後まで読んでみてください。
それでは早速見ていきましょう。
目次
海外転勤に妻がついてこない3つの理由
3つの理由、と書いたな。あれは嘘だ。
実は、妻がついてきてくれない根本原因はただ一つ。
妻の立場に立った配慮が足りないから。
です。
そしてこれを細かく分解すると、大きく3つの分野に分けられます。
それが
・妻のキャリアの問題
・出産|子育ての問題
・海外での生活の問題
の3つです。
内容についてはこれから詳しくまとめていきますが、くれぐれも軽く考えるのは止めてください。
妻の立場に立って想像力を働かせ、それこそ
妻がインドに海外赴任。
自分は仕事を辞めてついていった上で、頼れる人がいない中ワンオペで子育てをする。
くらいの事を想像して考えてください。
さもなければ、家庭内で3ヵ月無視されることになりかねませんよ!
妻のキャリアの問題
海外赴任はキャリアアップのチャンス!給料も上がるしデメリットなんてない!
そう考えている人は注意が必要です。
いや、確かにそうなんですが、少し落ち着いて考えましょう。
キャリアアップのチャンスがあるのはあなただけ。
妻のキャリアについて、もっと真剣に考えなければいけません。
キャリアアップは”あなたの”メリット
海外赴任に選ばれるくらい仕事が出来るあなたの事です。
お金は自分が稼ぐから、妻には家庭を見て欲しい
このように考えていませんか?
一方で奥さんはどう考えているか、話し合ったことはあるでしょうか?
もしかしたらしっかり仕事をして、仕事にやりがいを見つけたり、ちゃんと昇進したりしたいと思っているかもしれません。
キャリアアップしたいのはあなただけではないのです。
仕事に対する価値観について、一度話し合ってみてはいかがでしょうか?
妻のキャリアは実質的に”終わる”
海外赴任についていくために、妻は仕事を辞めなければいけません。
そして、今の日本の制度上、奥様のキャリアはそこで終わってしまいます。
海外赴任の期間は3〜5年。日本に帰るころには30代後半という人も多いでしょう。
逆の立場に立って考えてください。
30代後半で、職歴に5年間の穴が空いていたとして、新しい仕事は見つかるでしょうか?
仮に見つかったとして、その仕事で活躍・昇進することは出来るでしょうか?
このように、海外赴任についていく妻は、大きな決断を迫られるのです。
それなのに「当然ついてきてくれるよね?」という姿勢で話をしていると、反発されるのも当然というものでしょう。
家族全体での生涯年収は?
海外赴任すると、手取り年収は大きく上がります。
僕の場合だと手取りで1.8倍くらいになりました。貯金もめちゃめちゃ貯まりました。
海外赴任すると貯金が貯まる? 現役駐在員が赴任後の貯金額をまとめてみた
ただ、それは海外赴任している数年間限定での話。
奥さんの収入と合わせた、家族全体での生涯年収はどうでしょう?
帰国後、奥さんの年収は下がる可能性が高いでしょう。
また、海外赴任をしたからといって、帰国後確実に昇進・年収アップできるとは限りません。
トータルでの収入まで考えた時、果たして海外赴任にデメリットはないのでしょうか?
一度、よく考えてみましょう。
出産|子育ての問題
初めての海外赴任は30歳前後となることが多いです。
この時期は、多くの人が出産・子育てを経験する時期でもあります。
出産や子育ては、どうしても妻に大きな負担がかかるもの。
ましてや海外で…となると、不安も大きいでしょう。
僕の妻も、ドイツの駐在中に出産を経験しましたが、とても沢山の不安や不自由がありました。
という訳で、出産|育ての問題について考えていきましょう。
海外での出産を想像してみよう
もし、奥さんが海外で妊娠したとして、出産までの過程はどのようになるでしょうか?
少し想像力を働かせて考えてみましょう。
・病院での検診は?
→言葉が上手く通じないかもしれません。
・妊娠中に異常があったら?
→救急車はどうやって呼ぶのでしょう?そもそも来てくれるのでしょうか?
・産後のケアは?
→両親は居ません。頼れる人がいない中一人で子育てをする?
男性はどうしても妊娠・出産に対する認識が甘くなりがちです。
でも、仮に自分のお腹の中に子供がいるとしたら?想像して考えてみてください。
それだけでも、尋常じゃないくらい不安になります。
さらには未経験の海外出産。怖くて仕方ないでしょう。
そろそろ子供が欲しい。そう思っている奥さんにとって、海外転勤を前向きに考えられないのは当たり前です。
海外子育ては完全ワンオペ
海外の子育てで何がしんどいかと言うと、休憩時間が無いのです。
具体的には
・実家の両親に頼れない
・子供を預けられず、家が片付かない
・土日はずっと子供の相手
・レトルト|インスタント食品がない
という感じで、家事と育児に一息つけるタイミングがマジでないです。
3ヵ月無視された経験から、僕は家事や育児にフルコミットしているので、その辛さがよくわかります。
「俺は働いてるんだから」と思うかもしれませんが、断言します。
働いてるほうが5倍は楽です。
お願いします働かせてください。
そんな中、旦那が帰ってくるのは毎日遅いし、定期的に出張でいないし、土日は付き合いで外出。
その間妻は完全ワンオペです。僕でも行きたくありません。
どうしても付いてきてほしいなら、土日のどちらかは家事と育児を全てあなたがやる、くらいの覚悟が必要です。
幼稚園や学校の手続き
子供の幼稚園探しや学校の手続きは妻の仕事、と思っていませんか?
実は教育関係の手続き、日本でも大変なんです。
・教育プログラムは?
・学校は荒れてない?
・どんな選択肢がある?
など、分からない事だらけ。
ましてや海外です。
知らない国で幼稚園探して現地語で先生とやり取りして入園手続きして…なんて、想像も付きません。
なのに旦那は一切関知せず丸投げ。もしくは上から目線のアドバイス。
今ならわかります。ぶっ飛ばされても文句は言えません。
子供なんて適当にしとけば育つよ~
心配しすぎ!
もういい!
あなたに相談したのが間違いだった!
逆に考えてみてください。働かないでいいから外国で幼稚園を探せと言われたら?
簡単にできますか?子供の人生がかかってるんですよ?
大切なのは、妻の悩みに寄り添い、一緒に考える事です。
奥さんのいう事に真剣に耳を傾けましょう。
海外での生活の問題
奥さんが、海外での慣れない生活について悩んでいる可能性もあります。
海外にチャレンジしようとしている旦那さんと、ただ付いてきてほしいと言われた奥さんでは、温度差が大きく、お互いを理解するのが難しいかもしれません。
ここでは、一旦妻の目線から状況を確認してみようと思います。
友人がいない
当然ですが、奥さんは海外に友達がいません。
それだけでなく、海外で友達を作る方法も分からないのです。
同じ拠点に赴任している人の奥さんがいる?
そんな人には気を使うし、話が合うかも分かりません。人間関係を強制されるのがイヤと言う人も多いでしょう。
いやいや、駐在員の奥さんがいるから大丈夫!
そんな人、気をつかうでしょ!
性格が合わなかったらどうするの…?
実際には、海外に住んでいる日本人って沢山いますし、日本人コミュニティみたいな場所もあります。
なんだかんだ友達は出来ますが、そういう問題ではないのです。
大切なのは、奥さんが「分からなくて、不安だ」という事。
まずはその気持ちを受け止め、奥さんの立場に立って一緒に考えましょう。
海外での生活が不安
あなたが仕事に行っている間、奥さんは家で一人で、もしくは子供と一緒に過ごすことになります。
外に出ようにも言葉は通じないし、物を買うにもどこに売っているか分からない。
日用品は手に入るの?ご飯とかどうすればいいの?など、さまざまな事に不安を感じるでしょう。
僕は仕事してるんだよ?
家のことは妻が考えるべきだよ
そんな態度を取っていませんか?
働いていれば、会社に話し相手は沢山います。
でも海外に行った時、奥さんには話し相手も頼れる人も、あなた以外にいないのです。
家で奥さんの話をちゃんと聞いていますか?会社の愚痴ばかり言ってませんか?
旦那が全然頼りにならないわ…
このように思われていた場合、なかなか付いてきて来てはくれないでしょう。
あなたが大丈夫か?は問題じゃない
友達なんて海外で作ればいいし、生活だって何とかなるでしょ。
僕は全然気にならないな。住めば都だよ。
そのように、楽観的に考えているなら、それは大間違いです。
奥さんに付いてきて欲しいんですよね?
それなら、あなたが大丈夫か?は問題ではありません。
奥さんが大丈夫か?を考えるべきです。
ストレス耐性は人によって違います。
あなたが平気な事でも、奥さんとっては強いストレスとなるかもしれません。
”妻は”この状況に耐えられるのか?海外でも生活できるのか?
という風に、妻を主体に考えましょう。
付いてきて欲しいなら|やるべき事
ここまで妻が海外転勤についてきてくれない原因をまとめてきました。
では、妻に付いてきてもらうためにはどうすればいいのでしょうか?
単身赴任するしか道は無い?
そんなことはありません。ちゃんと妻の不安を取り払い、妻にとってのメリットを示してあげれば、きっと海外転勤にもついてきてくれるはずです。
ここからは、どうすれば妻の不安を取り去ることが出来るのか?考えていこうと思います。
話を聞く|強制しない
初めに最も重要なことを書きます。
それが
まずは妻の話を聞く
という事です。
最低1時間くらいは覚悟しておきましょう。
アドバイスや指摘などは絶対にしてはいけませんし、正論で詰めるなんてもってのほかです。
何を言おうと、人は信頼できない相手のいう事なんて聞きません。
そして今、あなたに対する妻からの信頼は無いものと考えてください。
信頼を回復するため、ひたすら妻のいう事を肯定し、共感し、賛同するのです。
そうすることで、初めて妻から
私のことを真剣に考えてくれているのね…!
と認定され、議論のスタートラインに立つことができるのです。
妻のキャリアを真剣に考える
妻が仕事を辞めたくないと言っている場合、妻のキャリアについて一緒に考えてみましょう。
たとえば
・ジョブリターン制度
→帰国後に再雇用してくれる制度があったりします(会社による)。
・海外で仕事をするという選択肢
→先進国では慢性的に人手不足です。仕事が見つかる可能性は十分にあります。
この場合、妻のキャリアアップも両立出来るかもしれません。
・副業的に働く
→例えば海外で経験したことをブログで発信し、稼いでいる駐妻さんも沢山います。
会社に依存しない収入を得られる可能性だってあるのです。
といった可能性もあります。
注意して欲しいのが、この時
ジョブリターンで再雇用してもらえば大丈夫っしょ(知らんけど)
みたいな姿勢は絶対にNGです。
ついてきてほしいなら、妻の意向をしっかりと聞き、あなたも主体的に調べるようにしましょう。
海外で仕事を見つけるって言う人もいるみたいだよ。
一緒に転職サイトを確認してみよう!
くらい前のめりでいきましょう。
一緒に考える or 単身赴任する
あなたに残されたのは、この2択なのです。
とはいえ、自分たちだけで海外の求人を探すのは簡単ではありません。
そんな時は転職エージェントに相談して、キャリアアドバイザーに相談してみるといいでしょう。
エージェントサービスは、求人の量と質のバランスが良いdodaがオススメ。
僕も実際に使ってみましたが、相談してよかったと感じました。
詳細はこちらの記事にまとめています。
海外赴任すると貯金が貯まる? 現役駐在員が赴任後の貯金額をまとめてみた
妻にとってのメリットをアピールする
キャリアアップや昇進のチャンス、海外での経験などは”あなた”にとってのメリットです。
妻についてきてほしいなら”妻にとって”のメリットを考えなくてはいけません。
もしくは”子供にとって”のメリットでも良いでしょう。
例えば
・海外旅行が沢山できる
→海外赴任中は2~3週間程度の長期休暇が取れることが多いです。
メチャメチャ海外旅行できます。僕は3年で11か国回りました。
・会社のお金で英会話が出来る
→家族に対して語学学習の補助が出る会社も多いです。
ウチの妻も英語とドイツ語を会社のお金で勉強してます。
・子供がインターナショナルスクールに通える(かも)
→会社によっては、教育費が全額会社負担となったりします。
インターナショナルスクールに手出しゼロで通っているご家庭もあります。
何が妻のメリットになるかはご家庭によって違うと思いますが、大切なのは妻の価値観をしっかり考えることです。
そして、”妻の価値観に合う”メリットをアピールするのです。
そうすることで、海外への移住を前向きに考え直してくれるかもしれません。
協力体制を整える
海外赴任前から、「夫が頼りになる」ということをアピールし、協力体勢を整えるのも重要です。
例えば
・出来るだけ残業せず早く帰る
・家事や育児にコミットしていく
・妻の体調が悪い時は会社を休む
などなど。
これなら海外で辛いことがあっても、一緒に乗り越えられる…!
妻にそう思ってもらえるよう、今から協力体制を整えていきましょう。
まとめ|妻の気持ちをリアルに想像しよう
今回の記事では、妻が海外転勤についてきてくれない理由についてまとめ、その対策を考えてきました。
今回ご紹介した対策は、正直言ってかなり面倒だと思います。
ただでさえ海外赴任の準備で忙しいのに…という気持ちも分かります。
でも駐在中、妻に3ヵ月無視されて、僕は思ったのです。
僕は、妻にどれだけ辛い思いをさせていたのか。
どうして想像できなかったんだろう。
ぜひ、奥さんの気持ちに寄り添って十分話し合い、お互い納得できる形で海外赴任して欲しいと思います。
家族で海外赴任できると、色んな楽しいことがありますよ!頑張ってくださいね!
それでは、また。