- 海外駐在員の給料面でのメリットが分かる
- 海外駐在員の具体的な給料がいくらか分かる
- 3年の駐在でどのくらい貯金が貯まるか分かる
かどいちと言います。ドイツで海外駐在員として働いています。
海外駐在すると給料が上がって豊かな暮らしが出来たり貯金が出来たり、、、という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
でも具体的にどのくらい増えるの?
人にはなかなか聞けませんよね。
そこで、今回の記事では海外駐在員の給料についてまとめてみました。
海外駐在前後で具体的な給料の違い
について、表やグラフを使いながらわかりやすくまとめていこうと思います。
給与体系や貯金額シミュレーションなどもまとめていますので、海外赴任を目指す方の参考になると思いますよ!
目次
海外駐在員の給与体系
海外赴任時の給料の比較をする前に、海外赴任した際の給与体系の違いや、各種特典についてご説明しておきます。
基本給・手当 駐在員はダブルインカム
海外勤務の場合、多くが円払いと外貨払いのダブルインカムとなります。
僕の場合はドイツへの赴任であるため、円とユーロの両方で給与を支給されることになりますね。
給与の考え方は会社ごとに様々だと思いますが、僕の会社の場合下記のような考え方です。
・日本と同等の貯蓄額を確保
・日本と同等の生活水準を確保(物価により調整)
・海外勤務であることを考慮し手当加算
・その他の事情で手当を加算
・赴任地の環境次第で手当を加算(ドイツはなし)
図にすると下記のようになります。
僕が赴任しているドイツは、日本と比較して物価が高いのでその分の生計費が補填され、加えて海外手当や諸手当を加算した分が給料となります。
また、ドイツは危険・過酷な地域ではありませんので、地域加算はなしです。
税金について
海外赴任の大きなメリットの一つが、「所得税・住民税がゼロになる」ことです。
基本的には所得税は全額会社負担、住民税は支払義務がなくなりゼロとなります。
月次の給与に関しては、税金面でメリットはない(手取りは増えない)と名目上は言われていますが、
実はボーナスにかかる所得税もゼロとなるため、これを加味するとかなり大きな額になります。
その他特典
海外赴任時は、その他日本では得られない特典もあり、これらが実質手取りに強い影響を与えていきます。
例えば下記のようなものがあります
・カンパニーカー
赴任先にもよりますが、駐在員にはカンパニーカーを支給される場合があります。
したがって、通勤・プライベートで使用する車が無料で手に入ります。
車を購入する場合、車体価格を使用期間で割った償却費という観点で見ると、毎月馬鹿にならない金額です。
これが会社負担になるため、大きなメリットになります。
特に僕かどいちは、日本では山奥への通勤だったため、毎年3万kmくらいの走行距離が加算されていきます。
7年で20万km走ることに。どんどん車の寿命が削られていくので、非常にありがたいです。
・家賃は全額会社負担
海外勤務では基本的に、家賃は全額会社負担となります(ただし上限金額あり)
国内勤務では全額補助というのはなかなかないのではないでしょうか?
僕の会社でも国内勤務の場合は一定額を負担していました。
毎月の出費が確実に減るため、かなり助かりますね。
また、新規の家具を購入するための費用を分割でもらえる「家具償却手当」などもあり、
住むには困らない環境が容易されていると思います。
・医療費、健康診断手当
海外赴任時は医療費をすべて会社が立て替えてくれます。
ケガや病気はしないに越したことはないですが、もしもの時も安心です。
・外国語研修
海外勤務の際に、英語を独学する場合などに補助が出ることがあります。
僕の会社でも補助が出ます。ドイツの場合は合計2000ユーロまで。
DMM英会話の通常プランであれば約40カ月(3.3年分)受けられます。
僕もこの補助を使ってオンライン英会話を使った学習をしています。
・物資送付
会社によっては日本からの物品取り寄せサービスがあります。
医薬品や雑誌・書籍などを送料無料で購入できるサービスです。
医薬品の関税発生時は会社が負担してくれたりします。
また、子供の教育教材なども無料で支給があったりします。
地味に嬉しいサービスです。
海外赴任時の金銭面メリットまとめ
海外駐在で得られるメリットをまとめると下記のようになります。
・海外手当などの給料増
・所得税、住民税ゼロ
・家賃全額支給
・カンパニーカー
・医療費、教育費などその他特典多
上記のように海外赴任にはたくさんのメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。
下記の記事でメリット・デメリットをまとめています。
【ドイツ駐在員が解説】海外赴任5つのメリットと3つのデメリット
デメリットも加味した上で赴任する/しないの決断をするようにしましょう。
海外駐在で年収はいくら上がるの?赴任前後を比較
それでは海外赴任前後で給料がどのように変化するかを比較していこうと思います。
前提条件
まず前提として、かどいちのスペックをまとめておきます。
・30代・男性・主任級(日本)
・企業 :東証一部メーカー
・赴任国:ドイツ
・赴任後役職:シニアマネージャー
僕は30代前半で海外赴任となりましたが、国内では主任級(役なし、部下なし)として働いていました。
ドイツ赴任後はシニアマネージャーという役職ですが、私の会社では日本での職位によって海外での給料が決定するので、実はあんまり関係ありません。
尚、同じ年代でも給料や手当は業界・業種によってことなるので、あくまでご参考としてください。
それでは、さっそく国内勤務・海外駐在での給料を比較していこうと思います。
日本での給料
・国内勤務 収入の部
日本での収入は残業時間によって結構変動します。
そこで、赴任直前の3カ月間の基礎給・各種手当の平均値をベースとし、残業ゼロ・残業40時間の両方で収入額を算出してみました。
日本での費目別の収入は下記の通りです。
・国内勤務 控除の部
となります。ここから各種税金や保険料などを差し引いていきます。
尚、差し引き額も同様に過去3カ月平均としています。
また、海外赴任の様々な特典を加味した上で、実質的な手取り額を比較するため、
交通費や自動車通勤に必要な車体償却費も控除として換算しました。
日本での費目別の控除は下記の通りです。
※自動車償却費:250万円の車を7年間で償却すると仮定した場合の金額
年間3万キロ走ると7年間で20万キロを超えてもうムリ。
そしてこれらの差分が手取りとなりますので、日本での手取り月額は下記のようになりました。
残業ゼロの場合 : 約25.6万円
残業40時間の場合: 約37.9万円
ドイツでの給料
次に、ドイツ赴任後の給与を確認していきます。
・収入の部
ドイツでは役職がシニアマネージャーになりますので、給料は月額固定のサブスク化します。手当もなくなります。
定額働き放題です。悲しいですね。
とはいえ国内勤務の場合と比較するとかなり給料は上がります。また、円貨・外貨のダブルインカムとなりますので、給料を外貨を受け取ることができ、為替変動へのリスクヘッジが出来るのもメリットです。
ドイツ赴任後の費目別の収入は下記の通りです。
※ユーロ→円の換算は130円/ユーロとして計算
残業代や手当が無いので非常にシンプルですね。
収入額は国内勤務時で残業40時間をした場合よりもさらに多くなりました。
海外勤務時は働き放題状態ですので、残業をすればするだけ日本との給与差が縮まってしまいますが、
日本で海外勤務時と同じだけの収入を得ようと思ったら約60時間程度の残業をしなければならない計算になります。
よほどの激務で無い限り海外勤務時の収入の方が多くなると言えますね。
・控除の部
次に、海外勤務時の控除額は下記の通りとなりました。
※1年目は住民税を支払う必要あり。
控除額は海外勤務時の方が大幅に少ないですね。
所得税や住民税がゼロになるほか、カンパニーカーやガソリン代別途支給、家賃全額補助などの特典によって、実質手取りが大幅に向上しています。
そしてこれらの差分が手取りとなりますので、日本での手取り月額は下記のようになりました。
海外勤務時の手取り:55.3万円
比較一覧表
国内勤務と海外勤務の給料・控除額・手取りを比較すると下記のようになりました。
日本での残業ゼロの場合と比較すると、手取りの差は約29.7万円ほどにもなり、給与面で非常に大きなメリットがあると言えますね!
海外赴任のお金の面でのデメリット
ここで、海外赴任での金銭的なデメリットに関しても少し書いておこうと思います。
配偶者が働けない場合がほとんど
日本で共働きしていた家庭にとって最大のデメリットはこれだと思います。
配偶者の収入も高い場合は、家庭全体で見た場合マイナスなんてこともあり得るかもしれません。
また、金銭面だけでなく配偶者の将来のキャリアについてもデメリットとなるため、よく話し合って決めるべきだと思います。
配偶者を帯同するメリット・デメリットは下記の記事で詳しくまとめています。
【駐在員が解説】海外駐在に家族を帯同するメリット・デメリット
子供手当はもらえない
海外では日本でもらえる子供手当がもらえなくなります。
3歳までの子供には1.5万円/月、3歳以上は基本的には1万円/月ほどもらえますので、
例えば3人いた場合は月額3~4万円程度の需給ができないことになります。
結構悲しいです。
投資ができない
海外赴任すると日本の証券口座で株や投資信託の買い付けができなくなります。
株式の期待リターンは年平均6%程度という事を言われており、例えば3年間で考えると約20%の機会損失が発生します。
もちろんリスクはありますが、今の日本の環境を考えると長期では投資をする方がメリットが大きいと僕は考えています。
投資についてはこちらの記事にまとめています
非公開: 素人だった僕が学んだ、株式投資が必要な3つの理由【投資 初心者向け】
3年間勤務した場合の貯金額シミュレーション
最後に、3年間日本とドイツで働いた場合貯蓄額がどのくらい違うのかをシミュレーションしてみました。
貯蓄率ごとの貯金額
貯蓄額の前提は、手取り額×貯蓄率としました。
貯蓄率に関してはどのくらいが最適か諸説ありますが、ここでは無理なく生活できるよう20%程度として計算しました。
また、ボーナスに関しては日本では年間80万円、ドイツでは年間100万円の貯蓄を前提としています。所得税のメリットがある分を加味した形です。
月額の貯蓄額をシミュレーションすると下記のようになりました。
国内勤務時の貯蓄額に対し、海外駐在時は毎月3~6万円程度増加することが分かりますね。
シミュレーションの結果、3年間の貯蓄額合計は下記のようになりました。
ドイツ :698万円
日本(残業40時間):535万円
日本(残業なし) :425万円
日本の貯蓄額と比較すると、かなり多くの貯蓄が出来そうですが、家が建つとまではいかないくらいの額ですね。
今回のシミュレーションは貯蓄率一律20%としましたが、
海外駐在時は浪費を抑えて貯蓄に回せば、さらに貯蓄することも可能だと思います。
実際、僕の海外赴任期間中にはもっと多くの貯金ができました。
別記事でまとめていますので、興味があれば覗いてみてください。
海外赴任すると貯金が貯まる? 現役駐在員が赴任後の貯金額をまとめてみた
さいごに
今回は海外駐在員の給料、30代メーカー勤務、赴任国ドイツのモデルをまとめてみました。
今回のモデルはあくまで一つの例ですが、日本よりも金銭的なメリットは大きくなる場合が多いでしょう。
また、将来のキャリアや海外での経験など、給与面以外でも大きなメリットがあると思います。
チャンスがあればぜひチャレンジしてみてほしいです。
海外赴任したい!という人のために下記の記事をまとめています。こちらもご参考に。
社長に聞いた!海外赴任に選ばれる人の5つの特徴と明日からやるべきこと
今回の記事が海外赴任を目指す方の参考になれば幸いです。
それでは、また。
かどいち@山奥エンジニア
ドイツで海外駐在しながらブログを書いているエンジニア|シニアマネージャー。ドイツ情報|海外赴任情報|英語独学|マネジメント|データ見方や分析の仕方などを呟きます。物欲ないけど本とご飯には迷わず散財みたいな価値観。
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