海外赴任するのに住民票はどうしよう…抜いたらデメリットがあるの?
そのような疑問を抱えてこの記事にたどり着いた方、こんにちは。
今回の記事では
- 住民票を抜かずに海外赴任するとどうなる?
- 住民票を除票するメリット・デメリットは?
- 住民票を抜かずに海外赴任している人はいる?
といったことについて書いていきます。
かどいちと言います。ドイツで駐在員として働いています。
海外赴任の準備をしている人の中には
住民票を抜かずに海外赴任
という選択肢を知り、驚いている人もいるかもしれませんね。
実は、実際に海外赴任している人の中にも住民票を抜いていない人はいます。
え!?住民票抜かずに海外赴任に行く人もいるの!?
今回の記事では、海外赴任の実体験を元に
住民票を抜くべきか|残すべきか
について書いていこうと思います。
読み終わるころには、住民表をどうするかの判断基準がハッキリ分かります。ぜひご一読ください。
それでは早速みていきましょう。
目次
海外赴任で住民票って抜かなくてもいいの?
そもそも、海外に転出するのに住民票を抜かなくてもいいのでしょうか?
住民票って必ず抜かないといけないんじゃないの??
はじめに、海外転出の際のルールと、その実態について解説していきます。
抜かないといけない決まり
そもそも海外赴任する時に住民票を抜かなくてもいいのか?
そんな事が気になる人も多いかと思い、法律を調べてみました。
衆議院のページによれば、下記の通り。
第二十四条
転出(市町村の区域外へ住所を移すことをいう。以下同じ。)をする者は、あらかじめ、その氏名、転出先及び転出の予定年月日を市町村長に届け出なければならない
正当な理由がなくて第二十二条から第二十五条までの規定による届出をしない者は、二千円以下の過料に処する
非常にややこしいですが、要約すると
届け出をせずに”海外転出”したら2千円!
ということらしいです
海外転出ってどういうこと?
しかしここで、「海外転出」って何?という話になります。
自治体は、あなたが国外に住所を持っているか?ということを、把握できません。
なので、国内の転出・転入と違って、
- 一時的な渡航なのか?
- それとも住所が移っているのか?
が、分からないのです。
すると、
どこまでが旅行扱いで、どこからが転出扱いなの?
という話になりますよね。
実は、これについてはルールが決まっていて、
1年以上海外に居住する場合
が転出とみなされます。
そして、1年以上海外に居住する場合には
国外転出届
という書類を提出し、住民票を除票する必要があるのです。
一方、1年以内に帰国(一時的にでも)するのであれば、転出届けは不要みたいです。
抜かなくて怒られた話は聞いたことがない
とはいえ、住民票を抜かずに海外赴任しているという人は、実際にいます。
そして、そういった人達から、怒られた話を聞くか?というと…
怒られたという話、聞いたことがありません。
法律上は転出届が必要ですが、実際のところ厳しく取り締まられる訳ではないようです。
海外駐在員には一時帰国制度もありますし、年に1回程度帰国するという人は多いでしょう。
ルールはともあれ、抜かなくても問題にならない…というのが実態です。
住民票を除票するデメリット
住民票を抜かなくても実質的には大丈夫…とはいえ、残すことにどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここからは、住民票を除票するデメリットについてまとめていきます。
印鑑証明がつかえなくなる
まず、住民票を除票してしまうと、印鑑証明が発行できなくなります。
なので
- 車の売買
- 賃貸の契約
といった、印鑑証明が必要な契約ができなくなるわけです。
海外赴任中はこれらの契約をすることはありませんが、本帰国の際に必要となります。
帰国後、住民登録と印鑑登録が完了するまで契約ができない。
これが一つのデメリットです。
投資や資産運用ができなくなる
次に、住所が国内に無くなると、投資や資産運用に影響があります。
厳密にいうと
株や投資信託を新しく売買することができない
という状態になります。
NISAなどの買い付けもできなくなるため、
- 積み立て投資をしている人
- 株の売買を頻繁に行う人
にとってはデメリットが大きいです。
ただし、楽天証券やSBI証券など一部の証券会社では、口座を維持することはできます。
なので、証券を売らずに維持しておき、帰国後につみたてを再開することは可能です。
公共サービスが使えなくなる
住民票が除票されると、公共サービスが使えなくなります。
例えば住民票が無い状態では、子供が日本の幼稚園に通う事は出来ません。
小さな子供がいて、長期間の一時帰国をする…という人は、
住民票を除票すると、幼稚園の利用のための手続きが増えることになります。
マイナンバーカードを失う
海外転出届を提出し、住民票を除票すると、マイナンバーカードが使えなくなります。
マイナンバーカードは身分証明書や行政手続きのオンライン申請などに便利。
海外赴任中には活躍しませんが、一時帰国や本帰国時には使う機会も多いと思います。
帰国後、申請および再発行の手間がかかるのがデメリットと言えます。
住民票を残すとどうなる?
一方で、住民票を残すとどのようなことが起こるのでしょうか?
インターネット検索すると
- 住民税がかかる
- 健康保険や年金を支払わなければいけない
みたいな話が出てきます。
でも、一般企業の会社員として海外赴任する場合、ちょっと事情が違ってきます。
詳しく解説していきます。
住民税がかかる?【駐在員にはかからない】
住民票を残しておくと、住民税がかかる場合があります。
などと書いてある記事がありますが、駐在員のケースにおいては、住民票を残したとしても
住民税はかかりません
理由は
収入がゼロとカウントされるから
です。
海外赴任中、円貨と外貨の両方で給与を貰うという人は多いでしょう。
しかし、駐在員は現地の所得に換算され、赴任地に税金を納めます。
日本の所得はゼロとしてカウントされるため、住民票があろうが無かろうが、住民税はゼロとなるわけです。
健康保険の支払いがいる?【どっちにしてもいる】
住民票を残すと、国民健康保険の支払いが必要となります。
と書いてあるサイトが多いですが、
駐在員はどっちにしても保険料を納めます。
なぜなら、会社員は、国民健康保険ではなく社会保険に加入しているからです。
国民健康保険|自営業やフリーランスの人が入る保険
社会保険 |会社員などが入る保険
従って、住民票を除票しても保険料は円貨給料から天引きされます。
悲しい!
年金の支払いがいる?【どっちにしてもいる】
住民票を残すと、国民年金の支払いが必要となります。
などと..(以下略。
そう。駐在員はどっちにしても年金を納めます。
なぜなら、会社員は、国民年金ではなく厚生年金に加入しているからです。
国民年金|自営業やフリーランスの人が入る年金制度
厚生年金|会社員などが入る年金制度
従って、住民票を除票しても、年金はしっかり天引きされます。
給与明細を確認したら、しっかり引かれてました。悲しい!(2回目)
税金の手続きで問題になるかも【駐在員は抜く方が安全】
ここまでの話でいくと、住民票を残したとして、大きなデメリットはなさそうです。
では、住民票を残したまま海外赴任した方がいいのか?というと、
ちょっと怖いなぁ
というのが本音です。
理由は、税金関係の手続きで問題になるかもしれないから。
というのも、税金を納める時のルールとして、居住地で税金を納めるという原則があります。
そのため、会社は税務署に対して、駐在員が海外居住していることの届け出をする必要があるわけです。
この時に、駐在員の住民票が国内に残っているとどうなるのか?
正直に言います。
やったことないんで、わかりません。
そもそも1年未満の海外赴任なら、住民票は抜かなくても良いルールになっています。
税務署が地方自治体に住民票の有無を確認できるのか…?そこまで連携していないような気もします。
しかし、万が一税務手続きで問題になると、非常にややこしいことになるでしょう。
なので、結論
駐在員本人は住民票を抜いた方がよい
と言えます。
残すリスクが大きく、一方でメリットは限られるからです。
帰国したらまた住民登録すればいい話。不要なリスクは取る必要がありませんよね。
駐妻さんが住民票を残しているケースが多い
ここまで、住民票を抜くことについてのメリット|デメリットを書いてきました。
駐在員本人のケースでは、リスクが大きいわりにメリットも限られるという話でしたね。
一方で、僕の周囲の駐在員に聞くと、
奥さんが住民票を残している
というケースはあるようです。
詳しく解説していきます!
長期間の一時帰国に
海外赴任中、子供と奥さんだけ、長期間の一時帰国をする場合があります。
せっかく帰るなら1〜3カ月くらい帰国って感じです。
その際、子供を幼稚園に通わせようと思うと、住民登録が必要になります。
一々登録したり除票したりが面倒なので、奥さんの住民票は残しておくという選択。
帰国の頻度は奥さんの方が多くなりますからね。
そもそも年1回以上帰国するのであれば、ルール的にも問題ありません。
本帰国後の手続きに有利【家と車】
住民票を残しておくと、賃貸の契約や車の購入に必要な、印鑑証明が取得できます。
実際の契約は帰国後でないとできませんが、印鑑証明は代理でも取得可能。
帰国してから、スムーズに契約を行う事ができるというわけです。
本帰国時に住民登録の手間が省けるのは大きいと思います。
奥さんの証券口座で資産運用
奥さんの住民票を残しておけば、奥さんの証券口座では資産運用が可能です。
そのために奥さんだけ住民票を残しておく…というのもアリでしょう。
僕はほったらかしの長期保有ですが、買い付けできればさらに増えたかもしれません。。。
関連記事はこちら。
まとめ|手続きが面倒な駐妻さんが残すケースが多い
今回の記事では、住民票を残した場合のメリット|デメリットについてまとめてきました。
駐在員本人は、残す場合のリスクが大きく、得られるメリットは限られます。
駐在員は住民票を抜いておいた方がいいでしょう。
一方で、頻繁に帰国したり、登録|除票の手続きが面倒な駐妻さんは、残しておくのもアリって感じですね。
今回の記事は以上です。
それでは、また。
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